「もう限界です」
「でも、私がやらなかったら受験が回りません」
中学受験をしていると、そんな状態になることがあります。
塾の予定を確認する。
宿題をチェックする。
丸付けをする。
プリントを整理する。
模試を申し込む。
志望校を調べる。
子どもの機嫌を見る。
夫にも状況を説明する。
一つひとつは、それほど大きな仕事ではありません。
でも、毎日積み重なると、親の頭の中はずっと中学受験です。
「受験が終わるまで、もう少し頑張ろう」
そう思うかもしれません。
でも私は、限界に近づいている親へ、さらに頑張れとは言いたくありません。
この記事の結論は、これです。
親の仕事は、減らしても大丈夫です。
むしろ、
あなたが止まっただけで全部止まるなら、今の受験の回し方に少し無理があります。
もう一つ頑張るのではなく、まず一つ減らしてみませんか。
「私が止まったら回らない」は、頑張りどきではありません
責任感のある人ほど、
「私がしっかりしなければ」
と考えます。
しかし、すでに疲れている人に、
「前向きになろう」
「子どものために頑張ろう」
という仕事まで増やしても、楽にはなりません。
気持ちを変える前に、実際の仕事を減らした方がいい。
私はそう思います。
いきなり全部を手放す必要はありません。
まずは、中学受験のために自分がしていることを、紙に全部書いてみてください。
親がしている仕事を全部書き出してみる
たとえば、
-
塾の送迎
-
軽食や弁当の準備
-
宿題の確認
-
丸付け
-
間違い直しの声かけ
-
プリント整理
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模試の申し込み
-
塾からの連絡確認
-
学習計画づくり
-
持ち物の確認
-
学校説明会の予約
-
受験情報の検索
これだけではありません。
子どもの愚痴を聞く。
模試の結果を分析する。
夫へ状況を説明する。
きょうだいの予定を調整する。
こうした名前のついていない仕事もあります。
書き出してみると、
「私、こんなにやってたんや」
と驚くかもしれません。
親を疲れさせているのは、一つの大仕事とは限りません。
誰にも数えられていない小さな仕事を、毎日たくさん抱えていることです。
書き出した仕事を、四つに分けます
次に、書き出した仕事を四つに分けてみます。
A 今は自分がした方がよいこと
出願手続き。
重要な期限の管理。
安全に関わること。
これは、親が担当した方がよいでしょう。
ただし、
「今まで私がやってきたから」
という理由だけで、全部をAに入れないでください。
これまで自分がしてきたことと、自分にしかできないことは別です。
B 誰かがする必要はあるが、自分でなくてもよいこと
塾の送迎。
食事の準備。
塾の予定確認。
きょうだいの世話。
全部を夫や家族へ渡せなくても、
「土曜日の迎えだけお願いする」
「模試の日程確認は担当してもらう」
と、一つの仕事として渡すことはできます。
「もっと中学受験に関心を持って」
では、相手も何をすればよいのか分かりません。
頼むなら、気持ちではなく仕事を具体的に渡します。
受験への温度が同じでなくても、仕事は分けられます。
C 子ども本人へ戻してもよいこと
筆箱の確認。
塾の持ち物。
宿題ファイルの管理。
翌日の予定確認。
親が先回りしてきた家庭では、最初は忘れるでしょう。
でも、小さな失敗まで親が全部防いでいたら、親の仕事はいつまでも減りません。
任せることと、放置することは違います。
できるものを一つだけ、子どもへ戻してみます。
D やめても大きな問題がないこと
毎日、細かく計画表を確認する。
全教科を親が丸付けする。
同じ注意を何度も繰り返す。
必要以上に受験情報を探す。
ほかの家庭のSNSを毎日見る。
頑張って続けているけれど、効果がよく分からない。
むしろ親子喧嘩や不安を増やしている。
そういうものは、Dに入れます。
Dは「親として怠けていること」ではありません。
頑張って続けてきたけれど、そろそろ必要性を疑ってもよいことです。
Dの中から一つ、本当にやめてみる
ここが大事です。
「少し減らそうかな」
で終わらせず、一つだけ実際に止めてみます。
たとえば、
毎晩の丸付けをやめる。
毎日の計画表チェックをやめる。
中学受験のSNSを見ない。
何度言っても変わらない小言をやめる。
一つで構いません。
「やめたら成績が下がるのでは?」
「私が手を放したら、何もしないのでは?」
当然、不安になるでしょう。
でも、本当に必要な仕事だったのかは、一度止めてみなければ分からないこともあります。
これは受験を投げ出すことではありません。
その仕事が、家庭の負担に見合うだけの効果を出しているのか確かめる実験です。
一週間か二週間、止めて様子を見る
止めたあとに見るのは、成績だけではありません。
親の気持ちは少し軽くなったか。
親子喧嘩は減ったか。
子どもが自分でする場面は増えたか。
家庭の空気は変わったか。
やめたことで、本当に困ったことがあったか。
そこを見ます。
丸付けをやめても、塾で確認できていて何も困らなかった。
それなら、親が抱えなくてもよい仕事だったのでしょう。
反対に、プリント整理をやめたら、大切な書類が分からなくなった。
それなら戻せばいい。
一度やめたものを戻しても、判断を間違えたことにはなりません。
「これは必要だった」と分かった。
それも立派な結果です。
親の仕事を減らすと、受験への熱意まで疑われそう?
夫や家族に仕事を渡そうとすると、
「そんなに大変なら、受験をやめたら?」
と言われるのが嫌で、頼めないこともあるでしょう。
でも、
受験を続けることと、親が全部を背負うことは別です。
親が疲れ果てるまで管理しなければ続けられない受験なら、その形は一度見直した方がいい。
受験をやめる必要はありません。
一人で背負う受験をやめればいいのです。
また、仕事を分担しても、
「夫は私ほど受験を気にしてくれない」
という不満が残ることもあります。
その場合は、仕事量ではなく、夫婦の熱量の違いが問題なのかもしれません。
▶︎ 中学受験、私ばっかり必死で夫は他人事。夫にも同じくらい真剣になってもらうべき?
https://mr-tukamu.com/huhu_ondosa/
今日、一つだけ減らしてください
中学受験では、何かを足す方向へ考えがちです。
勉強時間を増やす。
問題集を増やす。
声かけを増やす。
情報を増やす。
親の管理を増やす。
でも、親が限界に近づいているときに、もう一つ足してはいけません。
Aは残す。
Bは誰かへ渡す。
Cは子どもへ戻す。
Dは一つ切る。
まずは今日、Dの中から一つだけ止めてみてください。
困ったら戻せばいいのです。
何も困らなければ、それは最初から、あなたが背負わなくてもよかった仕事です。
「もっと前向きになろう」という新しい宿題まで、自分に出さないでくださいね。
親が限界になったときに必要なのは、もう一つの努力ではありません。
今している努力を、一つ減らすことです。
この記事を書いた人|ミスター・ツカム
中学受験指導歴20年以上。個別指導塾で、延べ3,000人以上の子どものノートを見てきました。子どもの「やる気」や根性だけに頼らない学習の仕組みを考えています。
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