塾に通っているのに、成績が上がらない。

クラスも上がらない。

模試の結果も変わらない。

そうなると、

「今の塾が合っていないのでは?」

「先生の教え方が悪いのでは?」

「転塾した方がいいのでは?」

と考えます。

 

もちろん、本当に塾が合っていない場合もあります。

でも私は、塾を変える前に、一度だけ見てほしいことがあります。

それは、

わが子の学習が、どこで止まっているのか。

ということです。

外に原因を探し始めると、いくらでも見つかる

成績が上がらない原因を外に探すと、いくらでも出てきます。

先生の教え方が悪い。

教材が難しすぎる。

宿題が多すぎる。

クラスの雰囲気がよくない。

席が後ろだから集中できない。

塾まで遠くて疲れる。

探そうと思えば、まだまだ見つかります。

 

もちろん、その中に本当の原因があることもあります。

ただ、外にある原因ばかり探していると、新しい塾へ移ったあとも同じことが起きます。

 

今度は、

新しい先生が合わない。

新しい教材が分かりにくい。

新しいクラスの進度が速い。

また別の原因が見つかる。

 

これでは、塾を変えるたびに「次こそは」と期待して、しばらくすると「ここも違った」となるかもしれません。

塾探しの旅に出たまま、帰ってこられなくなります。

「先生が悪い」ではなく、どこから分からないのか

例えば、子どもが算数の授業を分かっていないとします。

そこで、

「先生の教え方が悪い」

と考える前に、

先生の説明の、どこから分からなくなっているのか。

を見ます。

 

説明を聞いた時点で、すでに分からないのか。

授業中は分かったつもりでも、家で一人になると解けないのか。

基本問題は解けるけれど、問題文が少し変わると手が止まるのか。

計算はできるけれど、式を立てられないのか。

 

同じ「算数が分からない」でも、止まっている場所は違います。

止まっている場所が違えば、必要なものも違います。

 

先生を変える必要がある子もいる。

説明をもう一度聞く必要がある子もいる。

基本問題へ戻った方がいい子もいる。

問題文を図にする練習が必要な子もいる。

 

大切なのは、

塾の悪いところを見つけることではなく、わが子が止まっている場所を見つけることです。

教材が悪いのではなく、教材を使えていないこともある

教材についても同じです。

評判のいい教材を使っている。

解説も詳しく書いてある。

それなのに成績が上がらない。

そんなことは普通にあります。

教材が悪いとは限りません。

 

問題を解いて、丸付けをして、それで終わっているのかもしれない。

間違えた問題に印をつけていないのかもしれない。

解説を読んで分かったつもりになり、もう一度自分で解いていないのかもしれない。

難しい問題ばかりに時間を使い、基本問題が抜けているのかもしれない。

同じ教材でも、使い方によって結果は変わります。

 

だから、

「この教材は、うちの子には合わない」

と決める前に、

この教材を、うちの子はどのように使っているのか。

を見てほしいのです。

塾が悪いのではなく、塾を使えていないこともある

質問できる時間が用意されていても、子どもが質問していない。

補習があっても、参加していない。

先生が宿題の優先順位を伝えていても、全部同じようにやっている。

間違い直しをするように言われても、答えを写して終わっている。

 

塾には仕組みがある。

でも、その仕組みを子どもが使えているとは限りません。

塾へ通っていることと、塾を使えていることは別です。

ここを見ないまま転塾すると、新しい塾でも同じ使い方をしてしまいます。

そして、また成績が上がらない。

それでは、塾の看板が変わっただけです。

不景気でも、儲かっている会社はある

商売の世界では、

「不景気だから売れない」

という話をよく聞きます。

でも、不景気でも売れている会社はあります。

景気が悪いことは事実です。

しかし、景気だけを原因にしていても、景気はすぐには変えられません。

 

だから会社は、

商品を変える。

売り方を変える。

見せ方を変える。

お客さんへの届け方を変える。

自分たちで変えられるところを探します。

 

中学受験も同じだと、私は思います。

先生や教材や塾のせいにする前に、

この子は、どこで止まっているのか。

何ができて、何ができていないのか。

今の学習への取り組み方で、変えられるところはないか。

そこを見ます。

誰が悪いかを決めるためではありません。

成績を上げるために、こちらから動かせる場所を見つけるためです。

わが子の詰まり方が分かれば、転塾の判断も変わる

私は、転塾に反対しているわけではありません。

今の塾が、その子に合っていないことはあります。

 

授業の進度が速すぎる。

質問しにくい。

必要なフォローを受けられない。

大量の宿題をこなすだけになっている。

そういう場合は、塾を変えることも選択肢です。

 

ただし、

「成績が上がらないから、もっと評判のいい塾へ」

だけでは、転塾先を選ぶ基準がありません。

 

一方、

「うちの子は、授業中は理解しているけれど、一人で解き直すところで止まっている」

と分かっていれば、

解き直しまで見てもらえる塾を探せます。

「分からない問題があっても、自分から質問できない」

と分かっていれば、

先生から声をかけてもらえる環境を探せます。

わが子の止まっている場所が分かれば、転塾は単なる環境替えではなくなります。

何を変えるための転塾なのか。

それが、はっきりします。

塾を変える前に、見る方向を変えてみる

成績が上がらない。

だから、塾が悪い。

そう考えるのは簡単です。

 

でも、そこで一度だけ、

わが子の学習は、どこで止まっているのだろう。

と考えてみてください。

 

先生の説明を理解するところなのか。

家で一人で解くところなのか。

間違いを直すところなのか。

覚えたことを思い出すところなのか。

質問するところなのか。

 

止まっている場所が見つかれば、今の塾へ具体的な相談ができます。

それでも今の塾では対応できないと分かったら、そのときは転塾を考えればいい。

塾を変えるかどうかを決める前に、

まず、原因を見る方向を変える。

外に原因を探し続けるより、その方が成績は上がりやすい。

私は、そう考えています。


この記事を書いた人|ミスター・ツカム

中学受験指導歴20年以上。個別指導塾で、延べ3,000人以上の子どものノートを見てきました。子どもの「やる気」や根性だけに頼らない学習の仕組みを考えています。

ミスター・ツカムのプロフィールを見る

今の塾でいいのか迷ったときの記事を見る