「もう、中学受験やめたい」

子どもにそう言われたら、親は動揺します。

ここまで頑張ってきたのに。

塾にも通ってきたのに。

本当にやめさせていいの?

でも、こんなにつらそうなのに続けさせていいの?

私は、こんなときに、その場で結論を出さなくてもいいと思います。

引き止めるか。

やめさせるか。

その二択を考える前に、子どもに一つだけ聞いてみてください。

「何をやめたい?」

同じ「やめたい」でも、やめたいものによって話はまったく違います。

「辞めたい」という気持ちは本物。でも、何を辞めたいのかは分からない

子どもが泣きながら「もうやめたい」と言っている。

そのつらさまで、

「どうせ一時的な気分でしょ」

と片づける必要はありません。

辞めたいくらいしんどい。

その気持ちは本物でしょう。

ただし、子ども自身も、

何をやめたいのか

まで整理して話しているとは限りません。

今日の勉強をやめたいのか。

今の塾をやめたいのか。

今の志望校をやめたいのか。

中学受験そのものをやめたいのか。

まず、大きな「中学受験をやめたい」を小さく分けてみる。

結論を出すのは、それからでも遅くありません。

今日は、もう勉強したくない

朝から模試を受けた。

思うように解けなかった。

家に帰ったら、まだ宿題が残っている。

そこへ親から、

「今日中に、ここまでやっておこう」

と言われた。

「もう嫌や! 中学受験なんかやめたい!」

となっても、不思議ではありません。

このとき本当にやめたいのは、中学受験ではなく、

今日の勉強

かもしれません。

それなら、その日の勉強を終わりにするという選択があります。

一晩寝て、翌日になっても同じことを言うのか。

まずは、そこを見ればいい。

受験を続けるかどうかという大きな決断を、疲れ切った夜にしなくてもいいのです。

今の塾をやめたい

授業についていけない。

宿題が多すぎる。

先生が怖い。

クラス替えがつらい。

友達とうまくいっていない。

帰宅時間が遅くてしんどい。

こうしたことが重なって、

「中学受験をやめたい」

と言っていることもあります。

しかし、この場合に考えるべきなのは、

受験を続けるかどうかではなく、今の塾を続けるかどうか

です。

塾を変える。

授業数を減らす。

宿題の量を先生に相談する。

少し休む。

今の塾をやめても、中学受験そのものをやめるとは限りません。

「受験を続けるか、全部やめるか」の二択にしてしまうと、その間にある選択肢が見えなくなります。

今の志望校を受けたくない

親は、

「中学受験をすると決めたんだから、最後まで頑張ろう」

と思っている。

でも子どもは、

「この学校に行きたいと思えなくなった」

のかもしれません。

学校見学へ行ったら、想像していた雰囲気と違った。

別の学校に興味が出てきた。

地元の友達と同じ中学校へ行きたくなった。

あるいは、

「お母さんが行ってほしい学校だから、頑張っていただけ」

ということもあるでしょう。

ここでも、すぐに、

「じゃあ、中学受験をやめるの?」

と話を大きくしない。

「受験をやめたいの?」

「それとも、この学校を受けたくないの?」

と分けて聞いてみます。

志望校を変えることで、もう一度前を向けることもあります。

本当に中学受験そのものをやめたい

もちろん、話を分けて聞いても、

「違う。塾でも志望校でもない。中学受験そのものをやめたい」

という場合もあります。

そのときは、きちんと向き合わなければなりません。

でも私は、ここでもすぐに、

「分かった。やめよう」

とも、

「ここまで来たんだから、最後までやりなさい」

とも言わなくていいと思います。

なぜやめたいのか。

いつからそう思っていたのか。

何が一番つらいのか。

やめたら、どうしたいのか。

時間をかけて聞いてみる。

中学受験をやめることは、人生の失敗ではありません。

一方で、その日の疲れだけで、何年も続けてきたことを終わらせる必要もありません。

大きな決断だからこそ、急がなくていいのです。

「ここまで頑張ったのに」は、いったん横へ置く

塾代も払ってきた。

送り迎えもしてきた。

お弁当も作った。

模試にも何度も連れて行った。

だから、

「ここまでやってきたのに、今さらやめるの?」

と言いたくなります。

親としては、当然の気持ちだと思います。

でも、「ここまで頑張った」は過去の話です。

今考えたいのは、

この先も続けることが、この子にとって意味があるか

です。

これまでかけた時間やお金を取り戻すために、受験を続けることはできません。

反対に、受験をやめたからといって、今までの努力が全部消えるわけでもありません。

覚えたこと。

考えたこと。

苦手なものに向き合ったこと。

自分なりに頑張ったこと。

それは、ちゃんと残ります。

最初に返す言葉は「続けなさい」でも「やめていい」でもない

子どもが「もうやめたい」と言ったとき、親もすぐに答えを出そうとします。

でも、最初に返す言葉は、

「最後まで頑張りなさい」

でも、

「そんなにつらいなら、やめてもいいよ」

でもなくていい。

まず、

「そうか。やめたいくらい、しんどいんやね」

と受け止める。

そして、少し落ち着いてから、

「何をやめたい?」

と聞いてみる。

今日の勉強?

今の塾?

この志望校?

それとも、中学受験そのもの?

子どもが、

「分からない」

と答えても構いません。

それなら、その日は決めなくてもいい。

「中学受験を続けるか、やめるか」という大きな問題も、小さく分ければ、考えられることが増えてきます。

「やめたい」という一言だけで、すべてを決めない。

まず、

「何をやめたい?」

そこから始めてみればいいと、私は思います。


この記事を書いた人|ミスター・ツカム

中学受験指導歴20年以上。個別指導塾で、延べ3,000人以上の子どものノートを見てきました。子どもの「やる気」や根性だけに頼らない学習の仕組みを考えています。

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