合格体験記を読んでいると、いろいろな勉強法が出てきます。
「毎朝、計算問題を10問解きました」
「間違いノートを作りました」
「リビングで勉強させました」
「過去問を何度も解き直しました」
どれも、実際にその家庭ではうまくいった方法なのでしょう。
すると親は思います。
「なるほど。うちもやってみよう」
でも、ちょっと待ってください。
私は、合格体験記に書かれている勉強法を、そのまま全部まねする必要はないと思っています。
なぜなら、その子とわが子では、やっているゲームが違うからです。
攻略本を読む前に、ゲームのタイトルを確認してください。
ドラクエをしながら、モンハンの攻略本を読んでいませんか?
わが子はドラクエをやっている。
ところが親は、モンスターハンターの攻略本を読んで、
「なるほど。こうやって武器を強化するのか」
と感心している。
いや、ちょっと待って。
君の子、ドラクエやってるで。
これでは、どれだけ熱心に攻略本を読んでも、話がかみ合いません。
同じ中学受験をしていても、子どもによって中身は違います。
朝の方が集中できる子もいれば、朝は頭がまったく動かない子もいます。
静かな部屋がいい子もいれば、家族の気配がある方が落ち着く子もいます。
一時間続けて勉強できる子もいれば、十五分ずつ区切った方が進む子もいます。
説明を先に聞くと理解できる子もいれば、まず自分で問題にぶつかった方が分かる子もいます。
同じゲームではありません。
当然、攻略法も違います。
合格体験記が間違っているわけではありません
合格体験記に書かれている勉強法が、間違っているわけではありません。
その子には合っていた。
その家庭では続けられた。
その塾の進め方とも、うまくかみ合った。
だから結果が出たのでしょう。
ただし、それは、
「この方法を使えば、すべての子が合格する」
という話ではありません。
合格体験記は、その家庭の攻略記録です。
そこには、勉強法だけでなく、
子どもの性格。
生活時間。
得意不得意。
塾までの距離。
親が手伝える時間。
それまでに身につけてきた力。
いろいろな条件が重なっています。
勉強法だけを一つ抜き出して、わが家へ持ってきても、同じ結果になるとは限りません。
まず、わが子が調子よく進んだ日を見てください
だから私は、ほかの家庭の勉強法を探す前に、わが子を見てほしいと思います。
といっても、難しい分析をする必要はありません。
わが子が、比較的すんなり勉強を始めた日は、どんな日だったでしょう。
いつもより問題が進んだ日は、どこで勉強していたでしょう。
説明を一度で理解できた時、どんな説明をしてもらったでしょう。
一人で考えていたのか。
図を描いてもらったのか。
似た問題から始めたのか。
少し休んだ後だったのか。
うまくいかなかった日ばかりを反省するのではなく、うまくいった日の条件を見つける。
私は、こちらの方が大切だと思います。
わが子の攻略法は、よその家庭の合格体験記だけを読んでも分かりません。
わが子が、すでに少し教えてくれています。
ほかの家庭の勉強法は、一つずつ借りればいい
もちろん、合格体験記を読むことに意味がないわけではありません。
「こんな方法もあるのか」
と知ることはできます。
ただし、全部をまねしなくていい。
使えそうなものを一つだけ借りて、試してみればいいのです。
朝学習が紹介されていたら、いきなり毎朝一時間やらせるのではなく、まずは計算一問だけ試してみる。
間違いノートがよさそうなら、立派なノートを一冊作る前に、間違えた問題を一問だけ貼ってみる。
うまくいけば続ける。
合わなければ、やめる。
合格した家庭がやっていた方法だからといって、わが家でも続けなければならない理由はありません。
攻略本に書いてある武器が、わが子のゲームでは装備できないこともあります。
それは、わが子の努力不足ではありません。
ゲームが違うだけです。
わが子のベストな状態を、親が少し知っておく
親が知っておきたいのは、
「どの勉強法が一番有名か」
ではありません。
わが子は、どんな時に集中しやすいのか。
どんな説明なら理解が早いのか。
どのくらいの長さなら続けられるのか。
どんな順番なら取りかかりやすいのか。
そこです。
全部を完璧に把握する必要はありません。
親にも分からないことはあります。
子ども自身にも、まだ分かっていないことがあります。
それでも、
「この子は、こういう時には進みやすいな」
ということを一つずつ見つけていけばいい。
そのうえで、合格体験記や勉強法の記事を読む。
すると、
「これは、うちでも使えそうだな」
「これは、うちの子には合わなさそうだな」
と判断できるようになります。
合格体験記は、説明書ではありません。
たくさんの家庭が残してくれた、勉強法の材料集です。
その中から、わが子に使えそうなものだけを借りればいいのです。
最後に、もう一度。
攻略本を読む前に、ゲームのタイトルを確認してください。
ドラクエをしている子に、モンハンの攻略本を渡しても、そらうまくいきません。
まず見るのは、よその家の成功ではなく、目の前のわが子です。
この記事を書いた人|ミスター・ツカム
中学受験指導歴20年以上。個別指導塾で、延べ3,000人以上の子どものノートを見てきました。子どもの「やる気」や根性だけに頼らない学習の仕組みを考えています。
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