子どもは、どうしてもA中学校へ行きたいと言う。

でも親は、B中学校のほうがいいと思っている。

偏差値。

通学時間。

大学進学実績。

校風。

親には親の考えがあります。

一方、子どもは、

「絶対にA中学校がいい」

と言って譲らない。

 

こんなとき、親はどちらの学校を選べばいいのでしょうか。

 

私は、実際に通うことができる学校なのであれば、子どもが熱望する学校を選んでよいと思います。

理由は単純です。

本人が、その学校を気に入っているからです。

 

ただし、親がどうしても納得できないのであれば、家で一度、子どもに「志望校プレゼン」をしてもらってはどうでしょうか。

親が子どもを説得するのではありません。

子どもに、親を説得してもらうのです。

学校は親に説明した。今度は子どもが親に説明する番です

学校説明会では、先生が学校の魅力を説明してくれます。

教育方針。

学校生活。

大学進学実績。

クラブ活動。

施設や行事。

親は、それを聞いて学校を判断します。

 

では、その学校へ行きたいと言っている子どもは、親に何を説明したのでしょう。

「なんとなく、ここがいい」

「友達が受けるから」

「制服が好きだから」

それだけでは、親が不安になるのも分かります。

 

だから、両親の前で子どもにプレゼンテーションをしてもらいます。

名づけて、

「わが家の志望校説明会」

です。

学校は親に説明しました。

今度は、子どもが親に説明する番です。

「お父さんとお母さんを、その学校のファンにしてみて」

大げさな資料を作る必要はありません。

パワーポイントもいりません。

リビングで、お父さんとお母さんに座ってもらう。

そして子どもに、こう言います。

「今から10分間、お父さんとお母さんを、その学校のファンにしてみて」

なぜ、その学校へ行きたいのか。

何が気に入ったのか。

入学したら何をしたいのか。

ほかの学校ではなく、なぜそこなのか。

 

子どもなりの言葉で話してもらいます。

親は、途中で口を挟まない。

「でも、通学時間が長いやん」

「進学実績なら、こっちの学校のほうがいいで」

と、すぐ反論しない。

 

まずは最後まで聞いてください。

そのあとで、親が心配していることを質問します。

ちょっとした家族イベントにすればいいのです。

立派な理由が出てこなくても構いません

ここで注意したいのは、立派なプレゼンができた子だけ、その学校を受験できるわけではないということです。

12歳です。

会社の企画会議ではありません。

「文化祭の雰囲気が好きだった」

「先輩が楽しそうだった」

「あのクラブに入りたい」

「制服を着てみたい」

「うまく言えないけど、ここに通いたいと思った」

それでもいいのです。

 

志望校選びには、理屈で説明しきれない部分があります。

むしろ、

「なんか知らんけど、ここがいい」

という感覚が、最後まで頑張る力になることもあります。

 

プレゼンの目的は、子どもの論理力を審査することではありません。

子どもの中にある思いを、一度、自分の言葉で外へ出してもらうことです。

自分で話した言葉は、自分の中にも残ります

子どもが自分の口で、

「私は、この学校へ行きたい」

「この学校で、こんなことをしたい」

と話す。

これは、親を納得させるだけの作業ではありません。

 

自分自身に対しても、

「私は、この学校を選ぶんだ」

と確認する作業になります。

頭の中でぼんやり思っていたことも、口に出すと少し輪郭が見えてきます。

 

話している途中で、

「私が行きたいのは、進学実績がいい学校ではなく、あの部活がある学校なんだ」

と、自分の気持ちに気づくこともあるでしょう。

反対に、親へ説明しているうちに、

「あれ? 本当にここじゃないとダメなのかな」

と考え直すかもしれません。

どちらになってもいいのです。

それも、志望校を自分で選ぶということです。

親は「どちらが正しいか」を決めようとしすぎなくていい

親が勧める学校と、子どもが行きたい学校。

どちらが正しいか。

これは、入学する前には分かりません。

 

親が選んだ学校で楽しく過ごすかもしれません。

子どもが選んだ学校で苦労するかもしれません。

その逆もあります。

学校選びに、未来を先回りした絶対の正解はありません。

 

だから私は、条件として通うことができ、どうしても親が反対しなければならない事情がないのなら、最後は子どもの希望を尊重してよいと思います。

12歳を、立派な一人の人間として扱う。

その子の決断を、親が受け止める。

中学受験では、そういう場面があってもいいのではないでしょうか。

「あなたが決めた学校やね」と確認する

子どもの話を聞き、親も納得できたら、最後にこう伝えます。

「分かった。あなたが行きたい学校は、そこなのね」

「あなたが自分で決めた学校だから、最後までやり通しなさいよ」

 

これは、

「苦しくても弱音を吐くな」

という意味ではありません。

しんどいときは、しんどいと言えばいい。

困ったときは、親に相談すればいい。

ただ、

「お母さんが行けと言ったから、この学校にした」

「こんな学校、本当は来たくなかった」

という言い訳はしない。

 

自分が選んだ学校として、うまくいかないことが起きたときも、そのときどうするかを考える。

そこまで含めて、自分で選ぶということです。

もちろん、親も突き放すわけではありません。

「あなたが選んだ学校やね。だから親は、その決断を応援する」

そう伝えればいいと思います。

親子で志望校が違ったら、子ども説明会を開こう

親子で意見が違うと、つい親が子どもを説得しようとします。

でも、一度それを逆にしてみてください。

親が子どもを説得するのではなく、

子どもに親を説得してもらう。

 

学校説明会へ行ったあとは、家で「子ども説明会」を開くのです。

きれいな結論が出なくても構いません。

子どもが自分の言葉で話し、親がそれを最後まで聞く。

それだけでも、

「なぜ、この学校へ行きたいのか」

が少し見えてきます。

 

志望校選びで大切なのは、親が完璧な正解を当てることではありません。

親子が納得できる選び方をすることです。

さあ、今夜のリビングは学校説明会です。

説明するのは、学校の先生ではありません。

わが家の受験生です。


この記事を書いた人|ミスター・ツカム

中学受験指導歴20年以上。個別指導塾で、延べ3,000人以上の子どものノートを見てきました。子どもの「やる気」や根性だけに頼らない学習の仕組みを考えています。

ミスター・ツカムのプロフィールを見る


この悩みの関連記事を見る → 学校選び・学校見学で迷った時

https://mr-tukamu.com/gakkouerabi/

ほかの悩みから探す → 困りごとから探す

https://mr-tukamu.com/