中学受験をしていると、

「なんで早く宿題やらないの?」

「また同じミスしてるやん」

「この前も言ったよね?」

「もう少しちゃんとしてよ」

そんなふうに、わが子にイライラすることがあります。

でも、ここで一度だけ思い出してほしいんです。

自分が10歳だった頃、そんなにちゃんとしていましたか?

宿題を後回しにしたこと、ありませんでした?

学校から帰ってきて、

先に遊びたい。

漫画を読みたい。

テレビを見たい。

友達としゃべりたい。

何か作りたい。

宿題はあとでやろう。

そんな日、ありませんでした?

私はありました。

親に、

「早く勉強しなさい」

と言われて、

「今やろうと思ってたのに!」

と腹が立ったこともあります。

前の記事でも書きましたが、私は子どもの頃、

「今日はまずこれをやって、そのあとこれをして、それから勉強しよう」

と、自分なりに頭の中で順番を考えていたことがあります。

そこへ、

「早く勉強しなさい」

と言われて、

頭の中の予定をぐちゃっと壊されたような感じがして、ものすごく腹が立った。

今でも覚えています。

親になると、なぜか全部忘れる(笑)

ところが大人になって親になると、

なぜか自分の子ども時代を忘れてしまいます。

宿題はすぐやる。

言われたことは守る。

テストでは同じ間違いをしない。

時間を見て自分から動く。

親に言われても素直に聞く。

そんな立派な小学生を、わが子には求めてしまう。

でも、

自分はどうだったんでしょう。

私はここを、一度思い出してみてもいいと思っています。

「自分ができなかったから、この子にはちゃんとしてほしい」

こう言われるかもしれません。

「私は子どもの頃、宿題を後回しにして苦労したんです」

「だから、この子には同じことをしてほしくない」

その気持ちは分かります。

親としては、

自分と同じ失敗をさせたくない。

遠回りさせたくない。

できれば、もう少し上手に生きてほしい。

そう思いますよね。

でも私は、

だからこそ逆じゃないかな

と思っています。

自分の失敗は、子どもを責める材料ではなく、分かってあげる材料にする

自分も宿題を後回しにした。

自分も親に言われて腹が立った。

自分もやる気がない日があった。

自分もテストで悪い点を取った。

それなら、その経験は、

「だからあなたはちゃんとしなさい」

に使うより、

「ああ、この気持ち分かるわ」

に使った方がいい。

私はそう思っています。

自分ができなかったことを、子どもに要求することはできます。

でも、

それを毎日やると、

子どもからすると、

「お父さんやお母さんが昔できなかったことを、なんで今の僕が完璧にやらなきゃいけないの?」

となっても不思議ではありません。

10歳の自分が、今の自分を見たらどう思う?

ここで、ちょっと想像してみてください。

今のあなたが、

「宿題早くやりなさい」

「またミスしてる」

「なんでこんなこともできないの」

と言っている。

その横に、

10歳の頃の自分

が立っているとします。

何て言うでしょう。

「その通りです。もっと厳しく言ってください」

と言うでしょうか。

たぶん、

「いやいや、自分もそんなちゃんとしてなかったやん」

と言うかもしれません(笑)。

私は、たまにそのくらいの距離で見てもいいと思っています。

中学受験を始めると、子どもに求める水準が上がりすぎる

中学受験は、普通の小学生生活とは少し違います。

塾へ行く。

大量の宿題をする。

模試を受ける。

偏差値を見る。

志望校を決める。

だから親も、

「受験するなら、これくらいやって当然」

と思いやすくなります。

でも、受験生である前に、

10歳、11歳、12歳の子ども

なんですよね。

毎日合理的には動けない。

気分も変わる。

やりたいこともある。

失敗もする。

同じことを何度も言われると腹も立つ。

それも込みで、小学生です。

「ちゃんとしてほしい」が強くなりすぎたら

私は、

子どもに何も言わなくていい、

とは思っていません。

注意することもある。

教えることもある。

約束を守らせることも必要です。

でも、

「なんでこの子はちゃんとしないんだろう」

とイライラが強くなってきたら、

一度だけ、

自分の10歳の頃を思い出してみる。

それだけで、少し見え方が変わるかもしれません。

「まあ、俺も似たようなもんやったな」

「私も親に同じこと言われてたな」

そう思えたら、

少しだけ言葉が変わるかもしれません。

親だからこそ、分かってあげられることもある

自分が失敗した。

自分が親に反発した。

自分が勉強したくない日もあった。

それは、決して無駄な経験ではありません。

むしろ、

今目の前にいる子どもを理解するための、

かなり優秀な参考資料

だと思っています。

だから私は、

自分の子ども時代を棚に上げない。

時々、下ろしてきて眺めてみる。

そのくらいでいいと思っています。

中学受験では、

子どもを変える方法ばかり探したくなります。

でも、たまには、

親の見方を少し変えてみる。

それだけで、家の空気が少し軽くなることもあると思います。


この記事を書いた人|ミスター・ツカム

中学受験指導歴20年以上。個別指導塾で、延べ3,000人以上の子どものノートを見てきました。子どもの「やる気」や根性だけに頼らない学習の仕組みを考えています。

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